パリ・サンジェルマンのFWズラタン・イブラヒモヴィッチが、母国のためにひと肌脱いだ。
今月11日、ブラジルのサンパウロで「INAS-FID世界選手権」が開幕した。知的障害者のためのワールドカップという位置付けの同大会は、4年に一度、「本家」と同じ年に、同じ開催国で行われている。そこに出場しているスウェーデン代表のために、イブラヒモヴィッチがチームのブラジル渡航費35万クローナ(約520万円)を提供していたことがわかった。
本大会出場を決めたスウェーデンだが、A代表と違って大会の参加費用を捻出するのは簡単ではない。同チームのスタッフは資金集めに奔走し、これまでもスウェーデンの著名なフットボーラーたちに協力を求めてきた。
これに応え、ヨハン・エルマンデルやキム・シェルストレームなど代表クラスの選手たちがサイン入りのユニフォームやシューズをオークションに提供し、その収益を寄付してきた。その中で、他の選手と同様にユニフォームの提供を頼まれたイブラヒモヴィッチは、こう答えたという。
「いくら必要なんだい?」
そこでスタッフが必要な費用の全額を伝えたところ、イブラヒモヴィッチは彼らの口座番号を聞き出し、後日、なんと全額が振り込まれたそうだ。
“破格”の援助をしたスウェーデンの英雄はその後、チームの公式アンバサダーに任命。スウェーデンサッカー連盟のWebサイトには、彼のこんな談話が紹介されている。
「フットボールは、性や障害に関係なく誰もが楽しめないといけない。僕ら(A代表)はワールドカップ出場を逃し、とても失望した。だが、このチームの話を聞いたとき、彼らがワールドカップを経験できるようにできる援助はすべてしたいと思った。迷うことはなかったよ」
一方で、同チームを率いるステファン・ヨンソン監督は「信じられないし、本当に素晴らしいことだ。今でも夢じゃないかと思って頬をつねっているよ。ズラタンのおかげで、生涯の夢が現実になったんだ」とコメント。トップスターの粋な計らいに、感謝の念を示している。
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